[PyQt + QtDesigner] Python で GUIアプリ開発 その1 ~ 開発の流れ ~
6/21/2019 2:22:40 PM
PyQt を使って GUI アプリを作る機会がありました.
せっかくなので, PyQt を使った Python での GUI アプリ開発について, 簡単に流れを紹介します.
ざっと調べた感じですが, Python を使ったクロスプラットフォーム GUI アプリ開発の手法としては,
辺りの選択肢があります.
ただあまりめんどうな方法で見た目を作りたくはないので, GUI の規定方法が
- GUI 操作で見た目を作れる
- HTML + CSS 等の Web 技術
- 直接座標を用いる
の優先度でなにか良い方法ないかなって探してたんですが,
PyQt
では Qt Designer
なるアプリで見た目を規定できて, かなり使い勝手も良かったので簡単に開発の流れを紹介します.
ただ日本語の情報ソースが少なくて, なるべく海外の情報を参考にはしたんですが, 不適切な手法も混ざっている可能性がありますのでご了承ください.
PyQt?
PyQt は、クロスプラットフォームな GUI ツールキットである Qt の Python バインディングにして、Python で GUI プログラミングをするときの選択肢の一つである -- wikipedia より
PyQt
の強みとしては, Python のみでクロスプラットフォームの GUI アプリを作れる点でしょうか.
Python 自体デスクトップアプリケーションに適してるわけではないので, あえて Python で作ることを検討するなら, Python を使う必然性があるはずです. Python しか書けない, コアな部分が既に Python で実装されている等.
その場合、
- Python でサーバーを立てて, 別でデスクトップクライアントを作る
- (自分が使うだけなら)1 の Python サーバーをローカルで建てて動かす
等を検討したほうが良いと思います.
逆に,
- Python を使う必然性があり
- サーバーを建てられない / 建てたくない
- だけど, 配布はしたい
みたいなユースケースなら良い選択肢になりそうです.
環境構築と初期設定
PyQt5 を取得します.
UI の作成に使う Qt Designer.app をダウンロードしておきます.bash$ pip install PyQT5 $ pip install pyinstaller
Qt Designer の初期設定
Qt Designer を開き, メニューバーから Preference を開きます(Cmd + ,でも OK).
- Appearance タブの User Interface Mode を "Docked Window"に変更
- 同じく Appearance タブの Tool Window Font で Japanese を選択し, フォントや文字サイズを好みのものに変更.
これで準備はできたので, 実際に画面を遷移するだけの簡単なアプリを作りながら開発の流れを見ていきます.
Qt Designer で UI を規定
まずは Gt Designer から上図のように, 画面を 2 つ作っていきます.
New
->Dialog without Buttons
から画面を 2 つ作成し, 保存(それぞれpage1.ui
,page2.ui
と名付けます).- 画面左側の
Widget Bot
からLine Edit
とPush Button
をpage1.ui
に,Line Edit
をpage2.ui
にドラッグアンドドロップします. Object Inspector
(画面右上)から,page1.ui
のLine Edit
をlineEdit1
,page2.ui
のLine Edit
をlineEdit2
と名前を変更します.- それぞれのウィジェットをダブルクリックして表示されているテキストを画像と同様に変更します.
これで画面は完成です.
Widget と Python 関数の紐づけ
Python でのコーディングに移っていきます.
まずは,
bash$ tree . . ├── test.py └── ui_files ├── page1.ui └── page2.ui
となるように, 実行用の test.py と作成した.ui ファイルを設置します. ui_files を test.py と同じディレクトリに設置してしまうと, 実行ファイル化のときに不都合が起きるはずなので注意が必要です.
pythonfrom PyQt5 import QtWidgets, uic app = QtWidgets.QApplication([]) # アプリケーションを作成 ui_path = "ui_files" dlg1 = uic.loadUi(f"{ui_path}/page1.ui") # 作成した page1.ui を読み出して, ダイアログ1を作成 dlg2 = uic.loadUi(f"{ui_path}/page2.ui") # 作成した page2.ui を読み出して, ダイアログ2を作成 if __name__ == "__main__": dlg1.show() # ダイアログ1を表示 app.exec() # 実行
これがアプリケーションを起動するための最小構成のコードです.
.ui ファイルを読み出して, ダイアログ(画面)を 2 つ作成して, 1 つ目の画面を表示してアプリをスタートしています.
実行してみると,page1.ui
に規定した見た目の窓が立ち上がります.
ここから処理を記述していきます.
PyQt では基本的に, イベントが起きた時の処理を記述した関数を用意して, それを各ウィジェットのイベントに紐づけていくことになります.
まずは, page1.ui のボタンを押すと, 画面が遷移して page2.ui の画面に遷移するように処理を書いていきます.
pythonfrom PyQt5 import QtWidgets, uic app = QtWidgets.QApplication([]) ui_path = "ui_files" dlg1 = uic.loadUi(f"{ui_path}/page1.ui") dlg2 = uic.loadUi(f"{ui_path}/page2.ui") def changeView(): # dlg1 -> dlg2に遷移させる dlg1.hide() # dlg1 を hide dlg2.show() # dlg2 を show dlg1.pushButton.clicked.connect(changeView) if __name__ == "__main__": dlg1.show() app.exec()
新たに追加した changeView() 関数では,
page1.ui で規定されたダイアログを隠して, page2.ui で規定されたダイアログを表示させることで画面遷移を実現しています.
そして,
pythondlg1.pushButton.clicked.connect(changeView)
によって, pushButton のクリック時の処理に changeView()関数 を指定しています.
このpushButton
は Object
の名前で, Qt Designer
の Object Inspector
から編集できます(最初に lineEdit の名前を編集したはず).
実行して, 次のページへをクリックすると画面が遷移します.
アプリ作成自体はこれで終わりです.
Pyinstaller で実行ファイル化
Pyinstaller を使うことで, 簡単にアプリ化が行えます.
※ pyenv で導入した Python から実行すると上手くいかないことがありますが, 公式の対応方法 を参考に, 再インストールして対応できます.bash$ pyinstaller test.py --onefile --noconsole
これで, 以下のツリー構造にファイルが生成されるはずです.
bash$ tree . . ├── build ├── dist │ ├── test │ └── test.app │ └── Contents │ ├── Frameworks │ ├── Info.plist │ ├── MacOS │ │ └── test │ └── Resources │ └── icon-windowed.icns ├── page1.ui ├── page2.ui ├── test.py └── test.spec
dist/test.app が今回作成した .app のアプリですが, 静的ファイル(今回は page1.ui と page2.ui)のパス関係が狂ってしまうのでうまく動作しません.
pyinstaller では, 静的ファイルを臨時のフォルダに展開して使うらしいので, 展開されるディレクトリとパスを対応付けないといけません.
そのため, test.py 本体とさきほど生成した test.spec ファイルを編集します.
ちなみに, .spec ファイルは, アプリ化の設定ファイルです.
基本は .spec に設定を記述した上で,
bash$ pyinstaller test.spec
で実行アプリを作っていきます(最小限の情報が記述された .spec がほしかったので最初は test.py からやりました).
静的ファイルパスとの対応付けの仕方は,
pyinstaller の*.spec ファイル作成法。 -- Qiita
が非常に参考になったので, 参考にしてソースコードと spec ファイルを編集します.
test.py
pythonfrom PyQt5 import QtWidgets, uic import sys import os def changeView(): # dlg1 -> dlg2に遷移させる dlg1.hide() # dlg1 を hide dlg2.show() # dlg2 を show def resource_path(relative): if hasattr(sys, "_MEIPASS"): # .appから実行 return os.path.join(sys._MEIPASS, relative) # 通常実行 return os.path.join(relative) app = QtWidgets.QApplication([]) ui_path = resource_path("ui_files") dlg1 = uic.loadUi(f"{ui_path}/page1.ui") dlg2 = uic.loadUi(f"{ui_path}/page2.ui") dlg1.pushButton.clicked.connect(changeView) if __name__ == "__main__": dlg1.show() app.exec()
test.spec
text# -*- mode: python -*- block_cipher = None a = Analysis(['test.py'], pathex=['/Users/kaito/Apps/PyQt_blog'], binaries=[], datas=[], hiddenimports=[], hookspath=[], runtime_hooks=[], excludes=[], win_no_prefer_redirects=False, win_private_assemblies=False, cipher=block_cipher, noarchive=False) pyz = PYZ(a.pure, a.zipped_data, cipher=block_cipher) exe = EXE(pyz, Tree('ui_files',prefix='ui_files'), # 追加 a.scripts, a.binaries, a.zipfiles, a.datas, [], name='test', debug=False, bootloader_ignore_signals=False, strip=False, upx=True, runtime_tmpdir=None, console=False ) app = BUNDLE(exe, name='test.app', info_plist={ 'NSHighResolutionCapable': 'True'}, # 追加 icon=None, bundle_identifier=None)
これで対応付けができたので, 再びアプリ化を試みます.
bash$ pyinstaller test.spec
成功して, dist/test.app から起動すると, page1.ui で規定した UI の窓が表示され, 期待通りの動作ができているはずです.
今回は開発の流れを一通りなぞることが目的だったのでこれで終わります.
PyQt + Qt Designer で GUI アプリ開発
PyQt
関係は 3 エントリに分けて投稿してます.
よろしければ他もどうぞ. 今回は一連の流れを追うだけだったので, 次回は主なウィジェットの使い方について紹介します.